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2010-05-10

「人の役に立つ」ロボットに込められた思いとは?

先日、ロボット制作をしている1つの中小企業が紹介されている番組を見た。
その企業では、これまで「人の役に立つ」いくつものロボットを制作しており、それらが紹介された。

まず紹介されていたのは、消防の現場において、消火・人命救助を行うロボットで、操作する人が遠隔操作をすればよく消防士のリスクが減るものである。
また、店舗など夜間人がいなくなる場所で、不審者を見つけると警告音をなら追跡し、最後は捕まえるためのネットを放ち捕まえるもの。
他にも、足が不自由や寝たきりの方が乗る電動の車椅子のようなもので、上半身をもたれかけられるようになっている乗り物である。
この電動椅子は椅子の座席部分が動き、ベッドからの乗り降り、トイレの椅子への移動などが楽に行え、そのことによって介護される側だけでなく、介護する側にも優しい乗り物である。

この企業の社長は、こうした「人の役に立つ」ロボットの制作をはじめたきっかけは、奥さんの「遠くにすむ(奥さんの)お母さんがひとりで倒れていないか、遠くに住んでいるのですぐには駆けつけられないから心配」、という思い、ことばであったという。
そこから生まれた最初のロボットが、家の中を点検し、家族やペットなどの動きなどが見られ、離れた場所からも携帯などから確認ができる、というものである。
このロボットは、30cm程度の円形の小型ロボットであり、まるで小型犬のペット用で使う人にとって愛着がわきそうな形態をしている。 

先に挙げた電動椅子であるが、これは乗って座ると少し前かがみである。
このような前かがみでもたれかかりながら動ける形は、誰かにおんぶをしてもらっている時の形を再現した、という説明であった。

こうした「人の役に立つ」ために考案されて生まれたロボットは、まさに「その人、使う人の立場になって考える」、という作り手の愛情の賜物である、ということが非常に強く伝わってきた。
「その人の立場にたって」と栄養教育の場面でも良く使うが、まさにこうしたことであろうと感じた。

現在、制作のための提携協力のオファーがあり、開発制作に関わる資金提供のみならず、運用のため法的整備までも含めての申し出もあるという。
しかし、これらオファーは北欧の福祉国家の国などからであり、日本政府からではない。
日本での実用化に向けてはいくつもにまたがる省庁の壁があると解説されていたが、今後、こうした本当に使う人の立場にたった様々な賜物が多く社会に浸透できるように努力しなければと思った。

吉岡 有紀子(フォーラム理事)