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2010-08-19

「べんとうず」の体験が育てたもの

今年も8月4?6日に、本フォーラム主催の食育セミナーが実施されました。
参加してくれた13名の子どもたちは、
セミナーで得た情報を家庭・学校・地域で発信してくれていると思います。

以前、このブログに書かせていただきましたが、「べんとうず」とは、
食育セミナーに参加した仙台の子どもたちが、
「3・1・2弁当箱法」を伝えているグループのことです。
(残念ながら、昨年度末に活動母体である地域の自主グループ「夢工房」の
解散に伴い、現在「べんとうず」の活動は休止しています)

7月30日、高校の家庭科の先生方の地区研究会で、
「べんとうず」のOG・OBが、今までの活動報告をしました。
先生方からの「「べんとうず」というグループがあるようですが
活動について知りたい。若者のアイデアやセンスに触れたい」
という要望に応えたものです。
OG・OBのメンバーは、フェルトで作った実物大の料理教材を使って、
弁当箱法を伝える方法を発案した彩夏さん(当時小学4年生、現在高校2年生)、
光さん・愛さん(高校1年生)、隼君(中学3年生)の4人です。

残念ながら、私は授業があり参加できなかったのですが、
参加者の声をもとにレポートします。
 
「べんとうず」は自己紹介の後、
まずは先生方(14名)に自由に弁当を詰めてもらい、
次いで、弁当箱法の説明(パワーポイント)を行いました。
そして、先に詰めた弁当を弁当箱法にそって詰め直し、
食料自給率の算出をしてもらいました。
これらの進め方は、彼らが今までの活動経験をもとに考えたものです。
「べんとうず」では子どもの考えを大切にし、
その実現を周りの大人が支援してきました。
ですから、自分たちで考えて企画する習慣が身についていることを
改めて感じました。

弁当箱法の説明の前に弁当を詰めてもらうことは、
かつて、先生方に弁当箱法をやってもらった時に、
「大人も本当はよくわかっていない」ということを知ったからです。
なので、先生方に「わかっていないことに気づいてもらおう」
という意図があったようです。(今回も、やはり・・・)
また、食料自給率の算出は、彩夏さんと隼君が、
3年前にエクセルで自動計算の表を作成したものです。
(そういえば、ゼミの学生がフェルトの料理と同じサイズの料理を実際に作り、
食材の重量を測り、エネルギー量を出していましたっけ。
地道なサポートが「べんとうず」の活動を支えていました)

その後、「べんとうず」に参加した理由や参加したことで得たことについて、
一人ひとりが話をしました。

□発案者の彩夏さん
食育セミナーに参加して、弁当箱法を知った。
すると、友だちの弁当の主菜が多いことが気になるようになり、
遊んで覚えられるようにフェルト料理を夏休みの作品として作った。
みんなに伝えるために、
セミナーに参加した友だちを誘って「べんとうず」を結成した。
活動を通して、
大学の先生やいろいろな専門家から話をきくことができるということがわかった。

□光さん
「べんとうず」が企画した、弁当箱法の会に参加したら、
自分もメンバーになってやってみたいと思った。妹もメンバーになった。
だんだん勉強していくうちにおもしろくなってきて、
将来は栄養士になる勉強をしたい。

□愛さん
私も企画に参加してから、おもしろそうだと思ってメンバーになった。
現在、調理科で勉強している。将来も食に関する職業につきたい。

□隼君
僕は環境に関心があったので、
パソコンで自給率ソフトを作るのがおもしろかった。
最初はフードマイレージも考えていたけど、
詰めた弁当を簡単に計算できる方法を考えていって自給率になった。
リンクのはり方など、パソコンの使い方から勉強した。

また、彼らは家庭科の先生方にと、
学校での調理実習についてもコメントしています。
興味深いことに、4人とも実習中は主に洗い物をしているとのこと。
但し、その理由が奮っています。
「普段調理の経験のない子は、切るなどの調理作業をしたがるので、
私は洗い物をしながら、全体の流れを見ている」
「調理作業以外のこともわかるので、補助的なことをやっている」
普段、彼らは家庭で食事づくりをそれほどはやっていないのですが、
「べんとうず」で企画から運営までを経験したことが、
こんなところに現れるのかと驚きました。

そして、極めつけは
「学校での調理実習がおもしろくないのは、
作るものが最初から決められているから。
食材も選べない。もっと、生徒が考えてやれる方がおもしろいと思う」

さてさて、先生方は彼らの発言をどのように受け止められたのか。
その場での声はあまり聞かれなかったようですが、
後ほど感想が送られてくるようですので、
次の機会にでも報告したいと思います。

平本 福子(フォーラム理事、宮城学院女子大学)
 

パネル日常の活動

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