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2023-02-03

子どもにとっても、大人(保護者など)にとっても、よりよい学童保育の昼食とは

学童保育の仲間たちと、生活の場としての「食」を実現するための活動をしています。

昨年、学童保育支援員の集まりで、岩手の方から、「長期休み中の昼食に悩んでいます。保護者から弁当づくりが大変だと言われるし、学童保育で作るのも難しいし、頼める業者もないし」との声があり、「うちもそう!」という声が続きました。そこで、学童保育の昼食について検討し、現場に情報提供しようということになりました。

まずは現状を調査

学童保育の昼食の現状についての情報が少ないので、昨年11月に宮城、岩手、埼玉、神奈川などの学童保育所419施設に調査の協力をしてもらいました。

その結果、学童保育の昼食は、家庭からの弁当を主として、学童保育で作る、宅配弁当の利用が組み合わされていました。コロナ前は、弁当が4割、弁当+学童で作るが2割、弁当+学童で作る+宅配弁当が1.5割、弁当+宅配弁当が1割でした。現在は、学童保育で作る割合が少なくなり、宅配弁当の割合が増加していました。

保護者の弁当づくりをどのように支援するか

また、保護者が弁当づくりの負担感をもっていると回答したところは9割と高く、その理由は「時間がない」が最も多く、次いで、「どんな料理をいれたらよいかわからない」「子どもの好き嫌いが多い」でした。

そして、情報提供の内容として、食材や調理法、調味などの展開ができる時短レシピはニーズも高く必須ですが、「どんな料理を入れたらよいかわからない」への情報として「3・1・2弁当箱法(以下、「弁当箱法」」を“上手”に伝えたいと思いました。

というのは、「弁当箱法」は主食・主菜・副菜の割合がわかりやすいので、「何をどれだけ入れたらよいか」が伝えやすいのですが、子育て中の保護者とかかわってきた経験では、「副菜」が子ども(食べる人:好き嫌い)と保護者(つくる人:調理技術)のいずれにとっても難しいのです。楽しみにしているお弁当がつらいものになってしまうのは、「弁当箱法」の理念でもありません。なので、どのように伝えていけばよいのか、あれこれ悩んでいるところです。

宅配弁当をどのように活用すればよいのか

今回の調査では、業者の宅配弁当を利用している学童保育は全体では3割でしたが、宮城、岩手では利用がわずかで、埼玉、神奈川では4、5割(利用の頻度や人数にかかわらず)もありました。宅配弁当の利用は、保護者の声だけでなく、子育て支援施策として提案される議員の動きもあり、おそらく今後はもっと広がっていくのではないかと思われます。

ただ、「弁当づくりが大変」→「弁当を頼めばよい」という安易な図式になっていることに危なさを感じます。また、弁当の種類が限られていて選べない、価格(400円程度)の面から揚げ物(主菜)中心になってしまう、子どもの残食が多いなどの課題も見えています。

一方で、どうしても弁当が作れないときなどの「保険」として、イベント的に活用するということも考えられると思います。その点では、「宅配弁当は悪」という極端な考え(これもまた安易な図式)ではなく、うまく活用できるための情報の整理が必要なので、もう少し現場の状況を探っていきたいと思います。

改めて思うのは、弁当(食事)は、ただのモノではなく、作る人から食べる人へのメッセージを含んだコト(営み)です。また、親子でメニューを一緒に考えたり、作ったりする「共食」の場です。提供する情報が、How to(スキル)とともに、その根底にある考えを含めて伝えられるようにしたいと思います。

 

平本福子(フォーラム理事・学童保育の「食」を考える会)