「豊海おさかなミュージアム」の「さかな丸ごと食育」学習会
会員名:高橋千恵子(フォーラム理事・東京水産振興会非常勤食育講師)
東京水産振興会「豊海おさかなミュージアム」では、さかなの生命力やおいしさを知り、親しみをもち、気づいたことを家族や身近な人に伝えあって「食育の輪」を広げていきたいと、「さかな丸ごと食育」を実践しています。
当ミュージアムは、「さかな丸ごと食育」プログラムや、その基本教材である「さかな丸ごと探検ノート」等の開発研究を事業助成してきた一般財団法人東京水産振興会が、「魚と水産に関する情報発信の場」として設置した施設で、食事作り実習室を併設しています。
その実習室も活用しながら、2012年3月から「豊海おさかなミュージアム食育セミナー(『さかな丸ごと食育』サポーター学習会)」を実施してきました。
「さかな丸ごと食育」専門講師である筆者は、東京水産振興会非常勤食育講師として活動にかかわってきました。
そのうち、夏・春休みに実施してきた小学生の「子ども食育セミナー」は、昨年から、毎月第2土曜日を基本に継続して実施することができるようになりました。
今年度にかけてほぼ継続参加してくれた小学生(中学生になったお姉さんもいます)が8名おりますが、その子たちが変わってきたのでちょっとご報告です。
<学習の態度が変わった>
●4年生になったT君は、1つ作業が終わるたびにかったるそうに席に戻ってしまい、毎回とてもつまらなそうにしていました。
しかし、この4月のセミナーで新1年生がどっと参加してきて、大人が大混乱している中、「さて、ご飯でも盛りつけるかな」と、自分からご飯を盛りつけに動いたのです。
セミナーでの食事づくりの全体の流れを把握しなければできない絶妙のタイミングでした。
「見て、見て、T君がご飯よそっている」思わず、東京水産振興会のKさんとつつきあってその姿に見入ってしまいました。
●3年生のS君は、昨年度、セミナー終了時に記入するチェックシートに、唯一「あまりおもしろくなかった」にマルをつけた子です。
前回のセミナーで、「実物大料理カード」を使って、主食、主菜、副菜の分類を行ったときです。
「料理を見ながらクイズのように皆で当てっこしてもいいよ」と言うと、さっと料理カードを手にして立ち上がり「この料理は何?」と、大きな声でグループの仲間に問いかけました。
こんなに生き生きと学習するS君の姿が見られるなんてびっくりです。昨年とは別人のようでした。
<家庭での様子が変わった>
●「夕食のおかずを見て、『これは主食、これは主菜、ママ、副菜がないよ』と言ったり、「3・1・2弁当箱法」のセミナーの後では、『ご飯の量が少ないね、私はもっと食べていいんだよ』とか教えてくれました。
かつお節を削ったセミナーに参加してからは、「今日は何のだし? かつお節? (だしがらを)捨てないで佃煮作ってよ」なんて言ったりして。子どもって結構しっかり覚えてくるものですね。子どもに言われるから、副菜、何にしようかなって私も気をつけるようになりました」と、2年生のMちゃんのお母さん。
学習して気づいたことを、お母さんにしっかり伝えていることがわかりました。
Mちゃんのお母さんも、子どもの声をきちんと受け止め対応下さっているようです。
参加したどの子も情報の発信者となれるように、「さかな丸ごと探検ノート」の他、学習で使用したワークシートや、その日に実習した料理の「さかなパワーをいかしたおいしい『料理カード』」など、子どもが自分で考え書き込んだ資料を持ち帰るように工夫しています。
今後も、家に帰って自分から見せたくなるような資料づくりをしていかなければと思いました。
●5年生のYちゃんは、食べる時の姿勢を気にするようになったそうです。
「お母さんがびっくりしていたけど?」と、本人に聞いてみると、「同じグループになったFちゃんの食べ方がきれいだったから家でも真似をしてみた」とのこと。
確かに中学生になるFちゃんは、背筋を伸ばし、お箸も、ご飯茶碗もきれいに持ち、毎回とても美しい食べ方をしていました。
共食することで、お互いに観察しあい学習しあっているのですね。感心してしまいました。
<子どもが主役のセミナーにしたい>
夏休みにこの子たちと、今年度後半のセミナーの内容を検討しました。
その結果を、先月の学習会で他の参加者に発表したところ、「わー、おもしろそう」「ここはぜったいに来るからねー」という声があちこちから聞こえました。
さすが、子どもの気持ちは子どもがよくわかるということでしょうか。
積極的に参加しだした子ども達が、ますます、楽しく「さかな丸ごと食育」に参加できるように、私たちスッタフも心してサポートしていきたいと思っています。
一緒に探検してみたいお友だち、「豊海おさかなミュージアム」でお待ちしています!