我が家の“手前”みそ
長女の夫のお母さん(Kさん)が持参くださった「手作りみそ」がとてもきれいでおいしくて、「すごいです!!」とほめたところ「じゃあ一緒に作りましょうか」ということになり、かれこれ15年くらい一緒に作らせてもらっている。
麹をたっぷりいれる“手前みそ”
一般的に手作りされるみその配合に比べ、麹を約倍使うところが特徴のみそ。1セットの単位は、大豆1Kg、麹2Kg、塩500g。その4セット分が毎年私の分となり、我が家で使用するみその約半年分に相当する。大豆や麹はKさんが長年厳選し、信頼関係ができあがった北海道の農家から分けていただいているそうで、茹であがった大豆を口に含むとなんともやさしい味がする。「大豆ってこんなにおいしいんだ」と、毎年、あたらめて感激してしまう。
わいわいとおしゃべりしながら作る“手前みそ”
一晩水につけるところはKさんとそのお仲間(昔、子どもたちが参加していた地元のサッカークラブの保護者達)にお願いし、私は翌朝、公民館が開く時間に圧力鍋とともに参加する。それぞれ持参した圧力鍋で大豆を15~20分煮る際、「圧力鍋はみそ作りで年に1度使うだけだから忘れちゃったわよ。あれ?これで蓋はしまったかしら?」「いやーねえ、去年も同じこと言ってたわよ」なんて言いあいながら、地元公民館の調理室に7~8人の私と同年代のお母さん(おばあちゃん?)がワイワイと作業に取り掛かる。我が娘も含め、たまに若い世代が仲間に加わることは「食の伝承」が実感でき、うれしい。
煮あがった大豆をマッシャーでサクサクとつぶし、塩を混ぜた麹と合わせ、みそ玉にまるめ、消毒した容器に空気を抜くようにペタッ、ペタッ、と投げ入れていく。早く作業が終了した人が次々と手伝い、思いのほか手際よくみそが出来上がっていく。「やだっ、ここに塩が一袋残っているわよ。誰の? 誰か入れ忘れていない?」なんていうハプニングも生じるものの、何とか無事に毎年の作業が笑いのうちに終了する。
一緒に作る(共食)ことでいっそうおいしくなる
コロナの感染者数が常に県内1位のさいたま市から出張していくのは気が引けて、ここ2年ばかり、私は自宅で作っている。にぎやかに楽しく作ることでおいしさが倍増していたように感じるので、何とも味気ない“手前みそ”づくりである。しかし、旬の野菜と塩分が少ない分たくさんの“手前みそ”を入れたみそ汁はあまくてとてもおいしい。一緒に作業する皆さんのお顔を思い浮かべながら、やはり場を共有する「共食」はいいものだな、と再認識し、次回こそはその再開を今から待ち遠しく思い、今年のみその仕込みを終わらせた。
高橋千恵子(フォーラム理事)