森は海の恋人
畠山重篤氏の著書を読みました。
本年度総会での講演をお願いしている方です。
今日はこられの本から受けた感激を少しでもお伝えできればと思います
畠山氏は宮城県気仙沼湾に注ぐ大川上流の山に、漁民の手で広葉樹の植林を行い、海を元気する活動をしている「牡蠣の森を慕う会」代表。
「森は海の恋人」
この印象的なフレーズは、歌人の熊谷龍子さん(気仙沼在住)が、畠山さんとの出会いから詠んだ「森は海の海は森を恋いながら悠久より愛を紡ぎゆく」からとのこと。
龍子さんの祖父は農民歌人として活躍された方で、互いの繁忙期には出稼ぎに行く等、山の民と海の民が暮らしの中で関わり合っていたことを歌に詠んでいます。畠山氏はそれらの歌を発見した時の驚きを嬉々として語っています。畠山いわく「洗練された言葉の世界の中に不思議な力が潜んでいる」。このような気仙沼地域の文化的な風土が、畠山さんの科学と芸術(文学)が融合した文章につながっているのでしょうか。
畠山氏が海と山の関連を実証していくことにまっすぐに向かっていく姿には圧倒されます。TVで北大の松永教授の昆布の研究を知ると、その日のうちにリュックを片手に函館に向かう。そして、その後の研究活動により蓄積されたデータが、全国に広がる植樹運動の基盤となっていく。実証研究が社会を変革していく運動を磐石なものにしていく。食生態学実践フォーラムの活動も同じだと思いながら、わが身を振り返りため息をつきました。
「リアスの海辺から」
小学校の頃、三陸海岸を「リアス式海岸」と呼び、複雑に入り組んだ海岸の地形と習いました。この本を読み、「リアス」の「リア」はスペイン語で「リオ(川)」であり、リアス式海岸は川が削った谷であり、地殻変動で地盤が沈降したため、海が逆に入り込んできた姿であることを知りました。海ではなく、川だったのです。
そんな、驚きとともに読み進むと、「リアスの海辺」の豊かな自然の中で、畠山少年が魚を獲ることに夢中であったこと、またそれをめぐっての家族や地域の人々とのやりとり等が次々と出てきます。それが、まるで文学書のような文章で綴られているので、近所のおじさんと畠山少年の会話ひとつにも感激してしまうのです。
少ない誌面と拙い文章では、「森は海の恋人」の感激をとても書ききれません。仙台に20年近く暮らしながら、畠山氏の話を伺うのははじめてなので楽しみです。多くの方々に参加していただければと思います。
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NPO法人食生態学実践フォーラム東京研修会
●講 演:「森は海の恋人」畠山重篤
●日 時:2010年5月16日(日)14:00?16:00
●会 場:日本女子大学 新泉山館
JR山手線目白駅から徒歩約15分/日本女子大学行バス約5分
東京メトロ有楽町線護国寺駅(4番出口)から徒歩約10分
東京メトロ副都心線雑司が谷駅(3番出口)から徒歩約10分
【参加費】
会員・無料、非会員2,000円 、学生非会員500円(授業等で参加の場合はご相談ください)
<主催> NPO法人 食生態学実践フォーラム
〒169-0075東京都新宿区高田馬場4-16-10コーポ小野202
tel&fax:03-5925-3780
E-mail:forum0314@angel.ocn.ne.jp
平本 福子(フォーラム理事、宮城学院女子大学)