秋の夜なべ仕事
陽の出入りと共に暮らすゆとりは未だにもてないでいますが、それでも休日などは、やはり秋の夜長は楽しみです。
私の場合は、読書とはいわず、漬け物や常備菜などをつくることです。
先月は紫蘇の実の佃煮づくりに挑戦をしました。
越してきた川越の家は元畑地であったので条件が良かったのか、みごとな紫蘇が育ちたくさんの実をつけました。
そこで気をよくして、ぜんざいなどに数粒ついてくる、あの佃煮を仕上がりのイメージして佃煮づくりに挑戦しました。
料理には、不思議な食材の取り合わせがあると思いますが、上田先生から教えていただいた「わかめのさっと煮」もその一つです。
わかめ、麹、紫蘇の実で、わかめは春、麹は甘差酒や味噌を仕込む11月頃から、紫蘇の実は8?9月が、一般的な出回り時期です。
私は春先につくりますので、紫蘇の実は塩漬けを使ってきましたが、この料理は何時が旬かしらといつも思ってきました。
高知では、紫蘇の実を日曜市で1パック買ってさっと茹で、乾かして塩漬けにして利用したのですが、佃煮にしたら、もっとおいしい「わかめのさっと煮」ができるかもしれないと思ったのです。
それには訳があって、牛肉とごぼうの有馬煮に、山椒の実の佃煮がおいしいことをこの十年来、試行錯誤してきて確かめたからです。
10月下旬、紫蘇を刈り取り穂をとり、次の日の夜に穂から実をとり、3日かかけて煮ました。ちょうどできあがった翌日、友人が寄ってくださいましたので、お裾分けしましたが、まさに習作で、まだまだイメージには程遠いできでした。
反省点は、
1)もっと立派な実をそだてること
2)花が穂先に2,3ついているもう少し早くやわらかい時期に刈り取ること
3)大きな実のみを利用すること
などです。
秋とは限りませんが、夜なべにすこしづつ手をかけて、時間がつくってくれるような、直ぐに結果が出ない漬け物や常備菜を試行錯誤しながらつくるのは、私の楽しみの一つです。
梅干し、茗荷の甘酢漬け、山椒の実の佃煮など、何年かがかりで、思うようなものがつくれるようになり、また、これをいろいろな料理に使うのも楽しみです。
また一つ、紫蘇の実の佃煮もパートリーに加えたいと、来年を楽しみにしている今日このごろです。
針谷 順子(フォーラム副理事長)