toggle
2021-06-30

1980年代の地球儀が私に教えてくれること

私の大学の研究室には、直径60センチ程の大きな地球儀があります。

大学に移る前に働いていた職場の先輩である管理栄養士の方に、「子ども(当時、長女は10か月くらいでしたでしょうか)のために地球儀がほしいのだけれど」と話したら、「もう少し大きくなってから、買った方がいいよ。私の家に古いけど、大きい地球儀があるからあげるよ」と言って、わざわざ家まで届けてくれました。なんでも、日進市長室にあったものとか。古くなったので廃棄する際、日進市職員だった先輩の夫さんが、引き取ったということでした。

日進市は1994年10月1日、市制施行により、愛知郡日進町から日進市となりました。どうやらこの地球儀は、そのタイミングで古くなったため、廃棄されたのではないかと推察できます。というのも、この地球儀にはビルマ連邦社会主義共和国、東ドイツ、西ドイツ、ソビエト連邦という国名が……。

ビルマは1989年に公式の英語名称をUnion of BurmaからUnion of Myanmarへと変更し、さらに後になってRepublic of the Union of Myanmarへと変更しました。日本国政府はこれに応じて日本語の正式名称を「ビルマ連邦」から「ミャンマー連邦」、さらに「ミャンマー連邦共和国」へと変更しました。ベルリンの壁も1989年11月に崩壊しました。ソビエト連邦は、その2年後である1991年12月に崩壊しました。

私は1991年4月に大学に入学したのですが、目まぐるしく変わる世界情勢に受験対策が追いつかず苦労したのを覚えています。湾岸戦争もこのころだったかと思います。日本でバブル経済の崩壊が始まったのも1991年3月からでした。

現在、ミャンマーではクーデターが起き、ドイツは移民問題で揺れ、ロシアとウクライナの間では“クリミア問題” が起こっています。これらの国だけでなく、この30年間、世界は変化し続けてきました。よい方向より、むしろ悪い方向に……。そして、新型コロナウイルスが世界中に広がっています。グローバル化によってパンデミックが起こり、格差はさら拡大し、新たな分断が生じています。

私の大学は日進市にあります。地球儀は20年以上を経て、日進市に帰ってきました。私はこの地球儀を毎日眺めながら、日進市の発展を感じ、世界の過去から現在について考えます。そして、平和な世界を願っています。

 

安達内美子(フォーラム運営委員、名古屋学芸大学)

 

 

 

コメント1件