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2023-03-09

春を歩く

2023年3月8日、横浜も予報通り気温は20度を超えました。前日は最低気温が5℃を下回らない確信を得て、家の中で冬越しをしていた月下美人やシャコバサボテンなどの鉢を外に出しました。例年より早いペースです。

週に1、2回、野菜を買いに出かける農家の直販所は、河川途中の遊水地に接する場所にあるので、帰りは大根の葉やネギが頭を出したままのリュックを背負って川沿いの遊歩道を歩き、少しでも歩数・運動量を増やそうと努めています。しかし冬から抜け出そうとするこの季節は、草木のエネルギッシュな芽吹きや順次膨らみはじめる花のつぼみ、やがて先を争うように咲きはじめる花々を見る楽しみが優先されます。狭い庭に閉じ込められた植木や花ではなく、桜や紫陽花など、植栽されてはいますが伸び伸びと枝を伸ばしている姿を見ると、清々しい気持ちになります。なんとなく見覚えがあるのに、なかなか名を思い出せない草木にも会えます。(写真下2枚はサンシュユ、3枚目はトサミズキ)

この日、早々に咲いていた河津桜(あるいはその仲間)は、既に葉桜となっていましたが、オカメと思われる早咲きの桜が華やかに咲いていました。以前は桜と言えばソメイヨシノしか思い浮かばなかったのですが、興味を持って本などを見ると桜と言っても野生種・栽培種合わせると300種以上もあるそうで、またこのオカメのようにイギリスで作出された園芸種が里帰りしているもの等もあるそうです。桜、奥深いです。

平日の遊歩道は高齢者やペットの犬を連れた人たちが多く散歩していますが、「そうだ! これも春の景色だ!」と思ったのは釣り人の姿です。ついこの前まで、無人だった釣りスポット。大きな獲物を狙っているのではなく、釣りを楽しむ(心静かに、時間を潰すこともできる)主に高齢男性たち。そして遊歩道を挟んでこの池のすぐ裏を流れる小川には、今年もダイサギが来ていました。昨春はアオサギが、池の中ではありますが釣り人の近くにいて驚きました。たまたまよく知る人が教えてくれたのは、釣れた魚をくれるおじさんがいて、彼らは親しい仲だそうです。池の中に立っているなら自分で魚を獲ればいいのに、と思いましたが……。

自宅近くまで戻ると、歩道の脇にツクシを発見。自宅では紫陽花の葉が日々大きくなっているのを実感しており、足音が聞こえそうなほど春の歩みは早くすすんでいます。毎年思うのですが、桜前線を追いかけながら日本列島を縦走する野望を、いつか少しでもかなえたいものです。要は自分次第ですが。

 

山本妙子(フォーラム理事)