鎌倉彫
今年の夏は猛暑が続き、庭の草は伸び放題でしたが、炎天下のなか庭仕事はやる気にならずに、ひたすらダラダラと身の置きどころがない日々を過ごしていました。
そのような中で、重い腰をあげたのが鎌倉彫でした。
コロナ渦で、月1回の鎌倉彫会のお稽古も3年続けてお休みになりました。先生からは「如何様にでも修正しますので思うように進めてください」といわれていましたが、手付かずのままでいました。
それが、この4月になって先生から「体調を崩したので……」と電話があり、休会のままになっています。
やりかけだった茶托2枚を、汗をかきながら写真のように彫りました。
先生の「5分やれば5分進みますよ」、下絵を丁寧に見てくださり「たち込むときにこの線に気を付けて」、際どりで失敗しても花のつぼみの表情を小刀でたちどころに直してくださったり、数々のことを思い出しながら彫りました。
この生地は、仲間の叔母さんが亡くなられて「使ってくれないか」と大量に持ち込まれときにいただいたものでした。1枚には絵付けがすでに描かれていて、もう1枚は生地のままでした。絵付けがしてあった方の茶托を荒堀したまま、3年程そのままになっていたのを写真のように仕上げ、もう1枚も同じようにして2枚彫りました。いつもならば、先生に見てもらいOKがでたら塗りに出すところですが、このまま2枚を私の最後の作品として塗ってもらおうかな、と考えています。
私の母は、50歳半ばを超えてから鎌倉彫を始め、15年くらい続けていました。亡くなったときにもらった彫刻刀と鏡やお盆の生地があったので、職場の上司にこの話をしたときに、「お昼休みに教えてあげますよ」といわれ、やはり50歳半ばから始めました。昼休みの食後のおしゃべりをしていると、さりげなく前をとおり「5分やれば5分進みますよ」といわれ、ボチボチとやってきました。これが始まりでその後、会場を借りて月に1回の鎌倉彫会は続いていました。
この茶托がどのように塗られてくるか楽しみです。
薄金孝子(フォーラム理事)