会員の活動報告
学童保育のおやつについて、 全国学童保育指導員学校の分科会を担当しました
会員名:平本福子(フォーラム理事・宮城学院女子大学)
2014年6月1日(日)南関東会場、6月22日(日)東北会場で「学童保育の生活づくりとおやつ」をテーマにワークショップ&レクチャーをしました。
学童保育はこの20年間で利用児童が約4倍、施設数が約3倍と増えています。2012年の「子ども・子育て支援法」と児童福祉法の改正により、学童保育は市町村事業となり、2015年度からの施行に向け、現在市町村で条例づくりが進んでいます。このような流れの中で、学童保育の指導員には今後より専門的な力量が求められています。しかし、劣悪な労働条件、厳しい勤務体制など、指導員の労働環境には多くの課題があります。
全国学童保育指導員学校は、学童保育指導員の資質向上を目的として、全国8会場で開催されています。学童保育の指導員の公的な資格制度や養成機関がなく、公的な研修制度が少ない現状では貴重な研修会です。
上記2会場の内容は、実践事例が雑誌掲載の実践報告(南関東)と実際のおやつを用いた報告(東北)と異なりますが、全体の構成は同じです。すなわち、
①学童保育をめぐる動向、今なぜ学童保育のおやつが重要なのか(ミニレクチャー)、
②実践事例をもとに、おやつの意義を考える、発表して共有する(グループワーク)、
③再度、今なぜ学童保育のおやつが重要なのか(レクチャー)とし、実践と理論を往還しながら、学童保育の「おやつ」観が深まることをねらいにしています。
(1)実践検討の前のミニレクチャー
1.学童保育(放課後児童クラブ)は、近年めまぐるしい動きがあります。そこで、まず、参加者と近年の動向を共有しました。
2.学童保育のおやつをめぐる議論では、学童保育が「生活の場」として位置付けられていることが重要です。児童福祉法では位置付けられているのですが、今回初めて厚生労働省省令の一般原則に左記のように位置づけられました。
自分の毎日の仕事(指導員)の依って立つところをきちんと確認することは重要なことだと思います。
3.おやつが、学童保育の役割である、子どもたちの「生活の場」を保証するために、ぴったりな題材であることを確認しました。
(資料)平本福子:学童保育のおやつの役割を再考する「日本の学童保育」29-33頁、2013年7月号
(2)実践検討
1)実践報告
(「日本の学童保育」1993年7月号 特集:おやつ大好き)を使う方法(南関東)
実践報告(指導員によるデモンストレーション、試食つき報告会)を体験する方法(東北)
各15分の発表、各10分づつ試食&交流会
・地域のお年寄りから教えてもらう「草餅」 宮城県七ヶ浜町 さくら児童保育館
・作って家にもって帰り、家族と食べる「ピザ」 山形市たてやまっこクラブ
・市販のお菓子を使って「お菓子屋さん」 北上市北上学童保育所
2)グループに分かれて、実践を振り返り、ワークシートに記入する。
3)グループ毎に発表して、参加者全員で、「おやつ」の場の中で、
子どもがどのように育つ可能性があるのかについて共有する。
(3)実践検討を踏まえてのレクチャー
再度、左記のスライドを使いながら、実践報告を通して見えてきた、子どもの育ちを確認する。
(4)実践を記録する
「おやつ」における子どもの育ちをつかんでいくためには、日々の実践を記録していく方法についても触れました。ただ、実践したことを書くだけでなく、見るべき視点を決めて、観察し、記録することが、専門家としての指導員の仕事を多くの人々にわかってもらうことにつながると思います。
(資料)平本福子:子どもの自己決定を支える保育所給食への挑戦(1)~子どもの思いを受け止めたい~
「子どもの栄養」16-19頁 2012年7月号
(5)宮城県の学童保育におけるおやつの調査報告
研修の時間が許す限り、宮城県のおやつ調査の報告もしました。宮城県(特に仙台市)の学童保育が全国の傾向と異なること、それが「おやつ」に顕著にみえることなど。また、2014年度中に作成される、市町村条例に少しでもこの調査結果が反映されることを期待して。
調査時期:2013年6月、調査対象:宮城県内学童保育所335ヵ所(有効回答232ヵ所69.2%)
この調査報告の詳細は、宮城学院女子大学HP(下記URL)にありますので、興味のある方はご活用ください。
https://www.mgu.ac.jp/main/library/publication/seikatsu/no46/seikatsu46_07a.pdf
https://www.mgu.ac.jp/main/library/publication/seikatsu/no46/seikatsu46_07.pdf