「おむすび」から災害食を考える
この秋、NHKの連続テレビ小説「おむすび」が始まりました。1年ほど前からどんな展開になるのか楽しみにしていました。いよいよ番組が始まり、ドラマのなかでも多くの場面でおむすび(おにぎり)が登場しました。30年前の阪神淡路大震災の避難所では冷えたおむすびの配給、主人公が地域の防災訓練の炊き出しでは、わかめご飯のおむすびとツナサバけんちん汁が出てきました。
さて、今年の私のゼミのテーマは「みそ作りを通して、災害時の食や健康について学ぶ」です。今までも授業のなかで災害食にふれてきましたが、もう少し学生とともに実践的に学んでみることにしました。みそはどの家庭にでも常備されていることもありますが、毎年学校の授業で作っており、手作りみそを授業で利用しているので、それを「災害食」に取り入れたら、どのような料理の可能性があるかと探ってみることにしたのです。
とりあえずポリ袋調理法で、いくつかの料理を作ってみました。チキンライス、パスタ、焼きそばなども作れることに学生は少し驚いていたようです。1人分ずつを作るのであれば、このポリ袋調理法は最小限の水で作ることができ、簡単であることを実感してくれました。
その後、各自で災害時に適した「みそ」を使った料理を考え、提出してきたレシピを見ると「みそおにぎり」が圧倒的に多く、そのほかは「みその炊き込みごはん」「みそのパスタ」「みそ汁」などでした。おにぎりが日本人のソウルフードであることを実感しました。
災害はいつ起こるかわかりません。昔は乾パンを非常食として備えていましたが、その後は長期保存のアルファ化米や缶詰を備えるようになり、近年はローリングストックという通常の普段から少し多めに食材、加工品を買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料を家に備蓄しておく方法が推奨されています。
2024年最初の日に能登半島地震、その後も豪雨で、甚大な被害がありました。その後のドラマ「おむすび」でも災害食について考えさせられました。いつどこでどんな災害が起こるかわかりません。災害時に栄養士は、食の専門家として被災者の栄養管理を担う人材です。災害食についても授業の中でしっかりと伝えていかなければと思った1年でした。
富永暁子(フォーラム運営委員・大妻女子大学)
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