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2010-05-30

蛙の大合唱によせて

田園の中に位置する本大学は、田植えも終わり蛙の合唱の真っ直中にあります。

「蛙の歌が聞こえてくるよ?クワックワックワックワッ(    )クワックワックワッ」
皆さんは、(     )の中の歌詞をどのように歌っていますか?

統計WEBによると、一番多いのは(ゲロゲロゲロゲロ)で5割、(ケロケロケロケロ)は2割、(ゲゲゲゲゲゲゲゲ)2割、(ケケケケケケケケ)1割でした。
ゲロゲロは北海道・東北、ケロケロは中部、ゲゲは中国・四国、ケケは関東・甲信越にそれぞれ多いようです。

蛙の大合唱は、田植えと共にやってくると考えると水と共に繰り返される自然界の営みのように思えます。
アマガエルの“ケロケロ”、ウシガエルの“ボウボウ”、トノサマガエルの“ゲロゲロ”とさまざまに聞こえますが、田んぼからの合唱は、“ゲロゲロ”でしょうか。

蛙の鳴き声は、配偶行動に関わる鳴き声で、雄が鳴き声で雌を呼ぶ繁殖習性からくるといわれています。
本大学の友人の話では、何故か夜中の12時になるとぴたっと大合唱が静まるそうです。
まだ、12時まで居残り観察する機会はありませんが、生物辞典等で調べても今のところ答えは見つかりません。
蛙も12時には眠りにつくのでしょうか?

梅雨入りにふさわしい、蛙の合唱に耳を傾け、畠山重篤先生の“さらにダイナミックな食の循環―森は海の恋人―から”のご講演の意味の深さを今更に考えました。

梅雨入りと聴くと、じめじめとした憂鬱な季節と思うこともあります。
考えると日本の自然や風土、食文化には梅雨が必要不可欠です。
私たちの主食である米にとっても、川魚にとっても、また、雨が格好の蛙にとっても、この生態系を維持するために“梅雨”は必要といえます。
ましてや両生類である蛙は、変温動物であり、高温には大変弱い、また、皮膚呼吸をしているために、皮膚の損傷や乾きは命取りとなります。

そんな蛙は、環境の変化に敏感で水質の悪化や大気汚染に敏感であることから、環境指標生物とする学者もいるそうです。
豊かなきれいな水により生き続ける蛙、“梅雨あり、田植えあり”四季豊かな日本の情景の意味を、生態系から今一度考える必要があるようです。

新幹線「秋田こまち」沿いに広がる豊かな水の流れと共にある田園風景に「美味しいあきたこまち」の生まれる所以を納得顔に眺める私です。
「蛙の歌が聞こえてこない……」ことにならないよう、蛙の元気な大合唱に、「それ、もっと大きな声で」と応援したくなる最近です。

尾岸 恵三子(フォーラム理事、日赤秋田看護大学)

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