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2013-09-17

医療や介護、福祉のこと、母のこと

85歳の母が昨年度から体調を崩し、2回脊椎手術を受けた後、医療機関、介護老人保健施設でお世話になり、現在は自宅で生活しています。

高齢社会における医療・介護制度についてしくみは理解し、これから益々大変な社会になると思いつつも、いざ現実となると急性期病院から一般・療養型病院への転院、さらに介護施設、在宅への道のりは平たんではないことを実感しています。

母の身体が弱ってきたのを感じたのは、箪笥の前に衣服が山積みになっているのを見た時でした。綺麗好きな母がこのような状態にしておくことに驚きましたが、握力が弱って箪笥を開けるのが大変とのことからでした。

急性期病院退院時に、「これからは杖で歩く練習してくださいね」と看護師さんに言われほっとしましたが、本人は自宅に帰るのは不安で、他の病院を希望したため療養型病院にお世話になりました。
しかし、途端に車椅子生活に逆戻りでした。どうして?と思いましたが、本人は杖よりも車椅子が本人にとっては楽で転倒の心配がないこと、看護側でも人員の関係があったようです。
母は、前の病院は自分でできることはするようにと厳しかったが、今度の病院は靴下をはかせてくれたりと、とても良くしてくれるのでありがたいと満足しているようでした。
しかし、家族は歩けるようになって退院したのに車椅子はないのではと不満でした。

その後、おしゃれだった母は髪が乱れているのもかまわなくなり、整髪料や櫛を持っていても使おうとせず、時々意味不明のことを言うようになりました。回復の意欲がなくなってしまったようでした。そのため、母に納得してもらいリハビリのできる介護老人保健施設に移ることにしました。

施設が変わってからは、衣服に気を配るようになり、美容院に行きたいと言うようになりました。
さらにトレーニングにも励み、自宅に戻ることができました。
現在はデイサービスで友達になった方々とレクレーションや手芸等をするのを楽しみにしています。

今更ながら、身体状態や本人の希望に合せて、医療介護サービスを選ぶことの難しさを感じた一方、施設を選択したいと思っても、思うように入所できない高齢社会の厳しい現実も実感することができました。
また、自分の体力づくりもしなければと強く感じた数ケ月でした。

田中久子(女子栄養大学・フォーラム運営委員)