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「3・1・2弁当箱法」(自給率パンフレット追加分)

「3・1・2弁当箱法」は、“1食に何を、どれだけ食べたらよいか”のものさしです。1食の量を身近な弁当箱で決め、その中に主食・主菜・副菜料理を3・1・2の割合につめる食事・食事づくり法なので、「3・1・2弁当箱法」と名づけました。

ごはんしっかり「3・1・2弁当箱法」

図1<クリックで拡大>


「3・1・2弁当箱法」は、地域にくらす人々が、日本の食文化をふまえた、適量で栄養バランスのよい、おいしい、食料自給向上につながる食事を考え、準備し、食べる力の形成に役立ち、地域全体の「食の循環」をうまく回していくことを可能にします。このことが「健康・生活の質(QOL)」と「環境の質(QOE)」のよりよい共生をめざす栄養教育・食教育・食育のゴールへと近づけることになります。また、フードシステムと食情報システムの両面からのアプローチにも、「3・1・2弁当箱法」のコンセプトや方法が活用できます(図1)。

【目次】

 

「3・1・2弁当箱法」の開発のねらい

わかりやすい、使いやすい、みんなで共有しやすい“食事のものさし”がほしいという期待に応えたい

1970年代の後半に、何をどれだけ食べたらよいのかがわからない、頭でわかっているが実行できない、家族や仲間も一緒に実行したいのにできない等の悩みを持つ人々や専門家の願いに応えるための検討がはじまりました。

日本の食文化の知恵「主食・主菜・副菜を組み合わせる」をふまえて、栄養学や食生態学の実践・研究による科学的根拠を創りつつ、安心して活用の輪を広げたい

地域に生活する人々の食の営みや形成の構造を明らかにし、地域や生活の特徴を活かした実践方法を見出そうとする「食生態学」のコンセプトや方法を駆使しています。「食生態学」実践と研究の仲間たちが、それぞれの場で「3・1・2弁当箱法」についての学習者・研修者(幼児から高齢者まで、病気や障がいのある人や外国人を含む)の協力を得て、生活実験や地域実験を重ねてきました。そのプロセス・成果・課題を多くの人々と共有できるように、科学的な根拠のもと、教材開発などを行っています。

「3・1・2弁当箱法」のコンセプト

食事、食行動、食環境、栄養教育・食教育・食育について一部「発想の転換」の提案

  • 栄養素や食材料選択から、食卓での選択行動の対象形態の「料理」選択
  • 部分吟味優先から、実際の行動と同じ「全体」把握
  • 細かな数値を使う重量把握から、見てわかる「容積・面積」把握
  • 加算方式から、「全体量を決め、割合」把握
  • 特殊な計量器使用から、弁当箱や密閉容器等 「身近な食具」使用へ
  • 1日単位から、食べる行動の1単位である「1食単位」

 

食事(全体)から出発して、料理→食材料→栄養素(部分)へすすむ
「1食の適量とバランス」~4階層から見た食事のバランス評価

図2は、超簡単な「3・1・2弁当箱法」を基礎として作った食事内容が、多くの研究・実践の実績を重ねてきた栄養素レベル(食事摂取基準等)や食材料レベル(食品群や食品構成)と整合性があることを数値で示しています。同時に、学習者や活用者がそれぞれ使いやすいレベルを、状況に応じて選択的に活用できる可能性を示します。

「3・1・2弁当箱法」のロゴマークメニューの事例

図2<クリックで拡大>

※図2の印刷用データはこちら

「3・1・2弁当箱法」の食行動、食環境、「食の循環」へのつながり

「3・1・2弁当箱法」を基礎とする食事について、栄養面に加えて、味面や食料自給率を指標にした食環境面の良好さ、一方、学習後の継続的な摂食行動による健康面や食生活の自立力形成への行動変容面の良好さも明らかにされています。これらが多様にかかわりあって、図1に示した地域の「食の循環」をうまく回すことに貢献していると考えられます。

「3・1・2弁当箱法」の主な文献等
● 足立己幸. 料理選択型栄養教育の枠組としての核料理とその構成に関する研究. 民族衛生.1984;50:70-107.
● 足立己幸, 針谷順子. 3・1・2 弁当箱ダイエット法.東京: 群羊社;2004.
● 針谷順子. 料理選択型栄養教育をふまえたー食単位の食事構成力形成に関する研究ー「弁当箱ダイエット法」による食事の適量把握に関する介入プログラムとその評価. 栄養学雑誌.2003;61:349-356.
● 足立己幸.「3・1・2 弁当箱法」は“何をどれだけ食べたらよいか”の具体的なイメージ形成を期待して誕生したはずーしなやかに展開する第Ⅲ期を迎えて、原点を問う. 食生態学ー実践と研究.2013;6:2-5.
● 針谷順子, 足立己幸.1食単位の食事構成法「3・1・2 弁当箱法」の妥当性に関する栄養素構成面からの検討. 名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報.2014;6:33-55.
● 安達内美子, 塚原丘美, 三浦浩子, 西尾素子, 足立己幸. 教職課程履修女子大学生について「3・1・2 弁当箱法」を用いた食育プログラムの検討. 名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報.2014;6:13-23.
● 針谷順子, 足立己幸.食事コーディネートのための主食・主菜・副菜料理成分表 第4版.東京:群羊社;2017.
● 足立己幸.「料理選択型栄養・食教育」、主教材「食事の核料理(主食・主菜・副菜)を組み合わせる」・「3・1・2弁当箱法」による食事法:1970年代からの食生態学研究・理論・実践の環をふりかえり、現在の栄養・食問題解決の課題を問う.名古屋学芸大学健康・栄養研究所.2018;9:49-83.
● NPO法人 食生態学実践フォーラムホームページ

 

「3・1・2弁当箱法」活用のポイント


「3・1・2弁当箱法」は、“1食に何を、どれだけ食べたらよいか”について、だれでも理解し、実行し、多くの人と共有しやすいように、実践・研究開発された食事(料理の組み合わせ)のものさしです。食べる人のからだに合ったサイズの弁当箱に、主食・主菜・副菜料理を3・1・2 の割合の容積比(表面から見ると面積比)でつめると、適量で栄養素のバランスがよく、味・くらし・環境面からも、すぐれた食事にすることができます。だれでもマイペースでつくることができるように、「5つのルール」でキーポイントを示しています。

ルール1:食べる人にとって、ぴったりサイズの弁当箱を選ぶ

「3・1・2 弁当箱法」では、1食に必要なエネルギー量(kcal)と同じ数値の容量(mL)の弁当箱を選びます。
1 食に必要なエネルギー量は、性別や年齢、身体活動によって一人ひとり違います。そして、年齢やライフスタイルの変化で異なってきますので、自分にとってぴったりサイズを見つけることが必要です。はじめは、日本人の平均値を使って試してみます。

①必要なエネルギー量を確認します。

a)下のグラフから、性別・年齢から、当てはまる箇所をチェックします。
b)普段の身体活動レベルが高い人は、普通の人は、低い人はが目安です。
身体活動レベル
高い:移動や立位の多い仕事の従事者。あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている。
普通:座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買い物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む。
低い:生活の大部分が座位で、静的な活動が中心。
グラフ

図3<クリックで拡大>

※図3の印刷用データはこちら

c)次に、必要なら、体格チェックをし、よりぴったりサイズに修正します。

下の式にあなたの身長と体重を入れて、BMI(ボディマスインデックス:体格指数)を出してください。

体重(   )kg ÷ 身長(   )m ÷ 身長(   )m = BMI (   )

算出した自分のBMIと目標とするBMIを比べて、適正範囲より少ない人は、上のグラフでチェックした箇所の上の方の値を、適正範囲より大きい人は、チェックした箇所の下の方の値を見て、弁当箱のサイズを選びましょう。そして、選んだ弁当箱のサイズに見合った食事量を一定期間(1か月、3 か月、6 か月)、食べてみます。その結果に合わせて、弁当箱のサイズを見直していきます。

②自分に合ったサイズの弁当箱を決めます。

1日のエネルギー量(kcal)の1/3を1食の適量とし、そのエネルギー量(kcal)と同じ絶対値のサイズ(容量、mL)の弁当箱が自分に合った(適正)サイズです。例えば、1日1800kcalが適量の人の場合、1食は600 kcalですから、600mLの弁当箱が適正サイズとなります。

ルール2:動かないようにしっかりつめる

主食・主菜・副菜料理をすき間なくしっかりつめることで、ちょうどよいエネルギー量や栄養素量になります。ちょうどよいサイズの弁当箱が、ものさしの役割を果たします。
その目安は、弁当箱につめる1食分の食物(料理)が、すき間がないようにつまっていて、ふたをしたときに料理がつぶれない高さになっていることです。
うまくつめられているかのチェックを、重量でするとすれば、弁当箱の容量(mL)の絶対値の70%程度に当たります。60%未満では、料理の間に箸を立てると、すき間ができます。80%以上では、ふたで料理がおさえられ、ごはんがつぶれてしまいます。

図4<クリックで拡大>

ルール3:主食3・主菜1・副菜2の割合に料理をつめる

主食・主菜・副菜料理の3種の料理は、栄養面も見た目も味も、バランスのよい食事をつくるための核となる料理です。

図5<クリックで拡大>

 

主食・主菜・副菜料理は、主となる食材料が異なるので、栄養素の構成が異なるのはもちろんですが、味わいや色合いも異ってきます。これら3種の料理とその組み合わせによって、栄養素構成面やおいしさのバランスが図られます。

ルール4:同じ調理法の料理(特に油脂を多く使った料理)は1品だけ

主食・主菜・副菜がそろっていれば、どんな料理でもいいというわけではありません。調理法や味つけが重ならないようにすることが大切です。特に、油脂を多く使った料理が重なると、全体としてエネルギー量が多くなってしまいます。このことは表面の、4階層から見た食事のバランス評価からもわかります。
また、主食をごはん(白飯)にすると、油や塩を使っていないので、主菜や副菜の選択の幅が広くなります。調理法が重ならないように、油脂使用量の多い料理・食塩の使用量の多い料理に注目し、これらは1品までとします。調理法や調味法を重ねないように、多様な料理を組み合わせると、味のバランス、食事全体のエネルギー量や食塩量のバランスがとれ、適正な1食の量になります。

図6<クリックで拡大>

 

※図6の印刷用データはこちら

ルール5:全体をおいしそう! に仕上げる

ルール1では、1食の全体量(概量)を弁当箱で量って出発しました。最後のルール5でも「全体評価」をします。食事で大切なことは、おいしそうで、きれいで、楽しいこと。彩りや季節感なども意識して、おいしそうに仕上げましょう。

「3・1・2弁当箱法」リーフレット、パンフレット

  • 「3・1・2弁当箱法」基本版リーフレット

印刷用データダウンロード(pdf/3.4MB)

  • 「3・1・2弁当箱法」子ども版リーフレット

印刷用データダウンロード表面(pdf/1.4MB)
印刷用データダウンロード中面(pdf/1.1MB)

  • 「3・1・2弁当箱法」英語版リーフレット

印刷用データダウンロード表面(pdf/969KB)
印刷用データダウンロード中面(pdf/1MB)

3.1.2.bentobako_英語版中面

  • 「3・1・2弁当箱法」で食料自給率をアップ!

自給率に特化した「3・1・2弁当箱法」のパンフレット(A4・フルカラー・8ページ)ができあがりました!
食料自給率に注目することで、これからの世界・日本の食料安全保障につながる食事観や食行動を共有する機会になることを願って作成しました。ぜひご活用ください。

なお、このパンフレットは1部100円になります。教材・刊行物のご案内ページからご購入ください。(準備中)

「『3・1・2弁当箱法』で食料自給率をアップ!」の活用をより広げるために
当パンフレットは、情報化社会の中で視野を広げつつある若い人々と共に、これからの世界・日本の食料安全保障につながる食事観や食行動を共有する機会になることを願って作成しました。
そのため、中・高生を学習者と想定して、掲載料理は2200~3000kcal/日の食事を構想し整えられるように、一般成人向け(2200±200 kcal/日)よりやや大盛りサイズ(1.25倍)にしました。

下の表は、その基にした一般成人向けの料理の一人前のデータです。パンフレットと合わせてご活用ください(データ算出等の詳細は脚注を参照)。

一般成人向け(2200±200kcal/日) 主菜・副菜料理の食料自給率表

印刷用データダウンロード(pdf/221KB)

 

当フォーラムでは、この度、「3・1・2弁当箱法」を広く正しく共有し、活用できるようにと、理論と実践のシンボルとしてロゴマークを作成しました。
2種類作成し、それぞれカラーとモノクロ版の計4種を目的に応じて活用できるようになっています。

「3・1・2弁当箱法」の名称、ロゴマーク等の使用に際してのお願い

一つは、「3・1・2弁当箱法」の活用目的である“からだ・心・くらし・環境に健康な1食”の標語と「3・1・2弁当箱法」を具体化したイラストです。

rogo1

もう一つはイラストのみです。

rogo2

イラストは、1食当たりのエネルギー量を、国民健康・栄養調査結果をもとに約700kcalと想定し、700mLの弁当箱に(ルール1)、しっかりすき間がないように(ルール2)、主食のごはん、主菜のさけの照り焼き、副菜の根菜の煮物、青菜の炒め物を3:1:2の割合(ルール3、4)でおいしそう(ルール5)に詰めた1食です。

弁当のメニューについては、食事レベル・料理レベル・食材料レベル・栄養素レベルの4階層からのバランス評価のデータを参照してください。

 

「3・1・2弁当箱法」による食事法を主題にした栄養・食教材リスト(公表済み)を作成しました

主なものだけですが、宮城県蔵王町の食生態学生活実験セミナーハウスでの「自然から食卓まで子ども自身が構想し、実践する食事づくり」(1984年発行)から最近の教材までをリストアップしました。
ぜひ、ご活用ください!
ただし、他論文や教材への引用や転用の場合は、必ず、NPO法人食生態学実践フォーラムのHPからの引用であること、及びアクセスした日を明記してください。
今、総説論文『実践につながりやすい「栄養・食教材開発のPDCAモデル」の提案―料理選択型栄養・食教育の教材「3・1・2弁当箱法」の事例―』(著者:足立己幸・安達内美子)に投稿中です。

 

「3・1・2弁当箱法」による食事法を主題とする栄養・食教材開発の基礎となった資源リストを作成しました

今投稿中の総説論文『実践につながりやすい「栄養・食教材開発のPDCAモデル」の提案―料理選択型栄養・食教育の教材「3・1・2弁当箱法」の事例―』(著者:足立己幸・安達内美子)に特設した「学芸Sciences & Artsのホール」の事例です。
1972年、食生態学の創成期の論文も出ています。
ぜひ、ご活用ください!
ただし、他論文や教材への引用や転用の場合は、必ず、NPO法人食生態学実践フォーラムのHPからの引用であること、及びアクセスした日を明記してください。

 

「3・1・2弁当箱法」について、このページを大いにご活用ください。
ただし、使用にあたっては、「3・1・2弁当箱法」の名称、ロゴマーク等の使用に際してのお願いをご一読の上、使用申し込みフォームからお申し込みいただくか、「3・1・2弁当箱法」の名称、ロゴマーク等の使用申込書(pdfダウンロード)にご記入のうえ、食生態学実践フォーラム事務局までご提出ください。なお、回答までに2週間くらい要することがあります。