子どもの威力
我が家の娘は、高齢者福祉施設で働いています。
先日、デイサービスに近隣の保育園年長児が訪問に来てくれたそうで、その時の利用者さん(高齢者)の様子を、少し興奮しながら話してくれました。
「利用者さんと子どもと1:1に向かい合った時にね、少し痴呆がある方なんだけれど、子どもの手を握ったらそのまま離さなくて。
その子もちょっとびっくりしたみたいだけれど、特に嫌がりもせず、ずっと手を握らせてくれてね。
そしたら、いつも歌なんか歌わない人なのに、突然子どもと一緒に歌い出したんだよ。
びっくりしちゃった。
他にも子ども達が帰る時、子どもの姿が見えなくなるまでずーっとずーっと、窓から手を振っていた人がいたり、『お礼に』と早速折り鶴を折りだす人がいたの。
自分の孫でもないのに、子どもってかわいいんだね。
保育園の訪問日程が決まり『水曜日に子ども達が遊びに来てくれる』と話しただけで、『子ども達にプレゼントしたい』と自分からコマを作る人や、クリスマスツリーを飾り付けたりして楽しみに待っているんだよ。
そんなこと今までなかったのに」
ということでした。
子ども達の手話をしながら歌う姿や、フラフープの演技に笑顔が絶えず、
「かわいいねえ。よく頑張ったねえ。また必ず来てね」
と大好評で、当日参加できなかった利用者さんからも、
「別の曜日にも開催してほしい。年に何回も実施してほしい」
と要望があったそうです。
その後、保育園児と利用者さんとの間で、お礼の手紙のやり取りが何回か続き、インフルエンザの脅威がなくなる春に、また園児が訪問してくれる約束ができたそうで、娘も大変よろこんでおりました。
子どもの力はさすがです。
認知症の父も、曾孫(という認識は本人にはまったくないようにみえます)が「おじいちゃん」と甘えると、乏しい表情に笑顔が蘇る時もあります。
『何にも勝る子どもの力かな』と、その効力に驚きです。
当フォーラムも8月に食育セミナーで、地域の高齢者に子ども達がその人だけのオリジナル弁当を、心をこめて作りプレゼントしました。
参加してくださった皆さんの、弁当を前にしたあの笑顔が、あらためて思い出されました。
異年齢の交流は、高齢者にとっても、若い子どもにとっても得るものが大きいと思います。
さまざまな場で広まっていくことを願っています。
高橋千恵子(フォーラム理事)