甥の決断
「みゆき先生やはりがい先生、元気にしているかな!」
先日、小学1年生の長女と、年長組の長男を連れて我が家に遊びに来た40歳になる甥が唐突に聞いてきました。「俺さあ、食事作ることが面倒でなかったり、人が作ったものを食べるとどうやって作っているのかな? と知りたくなるのは、やっぱりあのセミナーに参加したからだと思うんだよね。包丁を初めて使ったのもあのセミナーだったな」と、話してくれました。「あのセミナー」とは、当フォーラムで毎年実施している事業「食事づくりセミナー」のことです。甥は小学3~4年生の頃、参加させていただいたと思いますが、もう、30年も前のことになるのですね。
現在、その甥は横須賀で、看護師の連れ合いと年子の子どもとの4人暮らしです。夜勤や準夜勤がある看護師の妻と自分の出張等が重なったときは、甥の母親である私の妹が千葉から2時間半もかけて子守と食事づくりの世話に出かけていました。「今月は、半分近くも横須賀通いだったよ」と、愚痴りながらも頼られてうれしそうな妹の報告が続く状況でしたが、このままでは子どもの生活にあまりにもかかわれないと、甥が出張のない部署に異動したそうです。「ばあばは、僕のこと嫌いになっちゃったの?」と、訪問回数が極端に減った妹に対し、おばあちゃん子の孫息子が電話をかけてくると、妹も少し寂しそうに話してくれました。「それで横須賀では家のこと、どうしているの?」と尋ねると、「パパ(甥)が頑張っている」とのこと。「朝ごはんも夕ごはんも、嫁さんのお弁当も作っているんだって!」と妹。そんな様子を耳にしていたので、冒頭の甥の言葉がとてもうれしく心に響きました。
当フォーラムの「食事づくりセミナー」は、準備の段階からかなりの力を投入し、力を振り絞って、毎回実施してきています。「昔は若かったからできたんだよね…」と言いながらも、すでに41回目となる現在でも、担当者は力を出し切り全力投球で臨んでいます。子どもたちの素直な反応はその時その時の私たちに力を与えてくれますが、40年もたってこんな喜びを与えてくれることもあるのですね。甥は私に「おばちゃん(私のこと)が連れて行ってくれてよかったと思っている。先生たちに感謝しているよ」と言ってくれました。
全力投球の「食事づくりセミナー」、今年度は2回実施し、2回目が1月に宮城県塩竈市で開催予定です。次年度からも引き続き企画していきますので、関心をお持ちくださっている方は事務局にお声がけください。学習者でも、スタッフでも、共催者としてでも、いろんな参加が可能です!
髙橋千恵子(フォーラム理事)