ベランダの小さな緑たち
我が家の小さなベランダに3年前に購入した「あじさい」が一房花を咲かせました。
青い涼しげな色のガクアジサイです。
購入した時は小さな植木鉢にたくさんの花をつけ、「毎年きれいに花が咲く」とPOPがついていました。
購入した年、秋から冬になり葉をすっかり落として枯れ木のようになったあじさいをほんの少し大きな植木鉢に植え替えました。
「本当に次の年花が咲くのだろうか?」と半信半疑で見守っていたところ春になると枯れたように見えていた枝が芽をつけ、前の年より一回り大きく枝を伸ばして初夏の頃には青々とした葉が茂り「さあ、いつ花をつけるのか?」と楽しみにしていました。
ところが夏になってもいっこうに花を咲かせる様子がないので、前年このあじさいの鉢を購入した生花店に花が咲かない旨を相談したところ「葉を全部落とした後に花芽をつける枝が出るのでその枝を折ってしまうと花は咲きません」とアドバイスされました。
というわけで2年前は「花は次の年のお楽しみ」とあじさいの葉の緑だけを楽しみました。
その年の秋、葉を落とした枝は寒そうに広がっていましたが、たぶん花芽の枝をうっかり折ってしまったのか去年もあじさいは葉だけが茂り、花を咲かせることはありませんでした。
昨年の秋が過ぎ今度こそはと、最初に植え替えた植木鉢からずいぶん大きく枝を伸ばしたあじさいの枝をうっかり折ってしまわないように注意をし、春の芽吹きを待ちました。
そして今年の春、いくつか出てきた新芽の中に小さな花芽を見つけた時はとてもいとおしく感じました。
このあじさいの他にも我が家にはいくつか毎年花を咲かせてくれる植物があります。
一番年数を経ているのはもう10年近くもなるでしょうか小さなシクラメンの花です。
花の季節以外は思い出したように水やりをするだけで、日当たりだけは良いもののほとんど人の目に触れることもない階段の踊り場の角に置いてある鉢ですが毎年新年を迎える頃から春先までポツポツと花を咲かせてくれます。
また、5~6年になるマーガレットの花も購入した時の華やかさには欠けるものの毎年小さな花を咲かせてくれ、3年ほど前にショッピングセンターでの「植木鉢プレゼントセール」でもらった小さな小さなガーベラの鉢も毎年春になると花をつけてくれます。
その他玄関脇の角に植えた月見草は、ほとんど水やりもしていないのに毎年可憐な花を咲かせてくれます。
決して植物を大切に面倒を見ているとはいえない我が家でこうして毎年花を咲かせてくれる植物たちを見ると、力強い生命力に尊敬の思いすら感じます。
毎年初夏になると小ぶりな鉢に苗を植える大葉とバジルも含め、西向きの小さなベランダの緑は、厳しい暑さの中目を楽しませてくれる心のオアシスになっています。
原田のり子(フォーラム理事)