toggle
2022-08-01

食育活動と子どもの権利条約 

7月17日の総会研修会では、子どもへの食からの支援の基盤として、基調講演に子どもの権利条約を取り上げました。そこで、改めて、食育活動と子どもの権利条約について、私自身の経験をもとに振り返ってみました。

子どもの権利条約との出会い

今から20年ほど前、子どもの権利条約から食育活動を考える機会を得ました。

「子ども自身が構想し実践する食事づくりセミナー」に参加した子どもたち8名(小学4~6年生)が、セミナーで学んだ「3・1・2弁当箱法」(以下、「弁当箱法」)がとてもわかりやすいので友だちに伝えたいと、2005年に「べんとうず」の活動をはじめました。

活動の内容は、放課後に友だちに「弁当箱法」をフェルト製の料理を使って、遊びながら伝えるというものです。また、夏休みには実際の食材を使ってのセミナーも子どもたちが企画・運営しました。これらの活動には地域ボランティアとともに私とゼミ生が関わっていました。子どもたちから、低学年の子に「弁当箱法」をどのように説明するかについて、子どもならではのアイデアが出てきて、私たち支援者は子ども主体の活動のよさを実感しました。

2006年、仙台に子どもの権利条約の委員が来られる機会がありました。足立己幸先生にもおいでいただきました。子どもの権利条約委員は「べんとうず」の活動を見て、子ども自身が考えたことを友だちや地域に伝えており、子どもの権利条約の意見表明権にあたる活動だといわれました。また、「子どもの意見表明権は、子どもが意見を言えるということではなく、大人が子どもの意見を聴くことなのですよ」と言われたことが印象的でした。

この「べんとうず」の子どもたちとの経験を機に、私たちの食育は「子どもの声を聴き、一緒に考える」を基盤として活動することになりました。

二度目の出会い

2010年頃から、学童保育の活動にも関わるようになりました。学童保育の設置根拠である児童福祉法(2016)には「児童の権利に関する条約の精神にのっとり」とあるように、子どもの権利条約は学童保育の実践の根底をなす考えであり、「放課後児童クラブ運営指針」(2015)には「子どもの権利条約」の考えが反映されています。

私たちは、子どもが「おやつ・食事」に主体的に関わる活動の根拠のひとつとして、子どもの権利条約を位置づけています。そして、子ども自身が自分たちの「おやつ・食事」を考えたり、つくったり、支援員と一緒にすすめていくことを提案しています。また、「子どもが主体的に関わる」ことを、「子どもが考えや気持ちを表現する」こととし、支援員は「子どもの考えや気持ちを聴く」ことが重要と考えています

新型コロナ感染で、学童保育の「おやつ・食事」の活動が制限されています。しかし、子どもと一緒に「どんなおやつにしようか」と考えることはできますよ! と提案しています。残念ながら、現実は「子ども主体」とはほど遠いところがありますが、あきらめず、少しずつ仲間を増やしていきたいと思っています。

 

平本福子(フォーラム理事)