夏休み中の学童保育―「お弁当つくるの大変!」がニュースに!
長期休業期間中の昼食についてのニュースがTVやインターネットを賑わしました。3月の参議院予算委員会での質疑にはじまり、5月にこども家庭庁が市町村に食事提供の実情調査、6月には学童保育での食事提供についての対応をお願いする旨の通達が出されました。
この動きを受けて、新聞やTVが全国各地の夏休みの昼食が報道されましたが、その論調のほとんどが「保護者の弁当づくりの負担を減らすために、弁当を業者に頼む」だったのは残念。本来は、昼食を食べる子ども、保護者、支援員のそれぞれにとっての視点から検討すべきではないでしょうか。
一方、保護者の弁当づくりの負担感が大きいのも事実。ただ、その支援が外注弁当になるのはいかがなものか。食事づくりにおける「手づくり=愛情」の図式は保護者、なかでも母親に過度な圧力をかけているので注意しなければなりませんが、我が子の好みを考えてつくられた弁当は、外注弁当とは異なるメッセージを子どもに届けます。ならば、弁当づくりをしないのではなく、弁当づくりのハードルを下げる支援が必要ではないか。食べ手のことを考えるという、本来の「手づくり」とは何か、ネットの情報や他人の目を気にしすぎていないか等々、弁当づくりの呪縛から逃れられるような情報が必要ではないでしょうか。
こども家庭庁の調査によると、学童保育所で昼食を提供しているところは2割程度で、設備の不備、支援員の少なさ、児童数の多さ等により難しいのが現状です。一方、厳しい環境のなかでもできることはあるし、頑張って実践しているところを応援したいので、「学童保育の『食』を考える会」の仲間と一緒に、保護者の弁当づくりと、学童保育所での昼食づくりについてのガイドブックをつくりました。また、衛生管理についての情報提供もしています。それは、何よりも学童保育所での昼食づくりを子どもたちが楽しみにしているからです。
人間にとって「食(食べること、つくること)」は生活の営みなので、食体験による学びのよさは、特別に頑張ってやらなくても、日々の生活の中でできるということ。最初は慣れなくても“繰り返し”により、少しずつ育っていきます。私たち大人は、つい早い変化を求めがちですが、焦らず支えることが大切だと思います。
子どもが「食」の体験に主体的に関わり、保護者や支援員と一緒にメニューを考えたり、つくったりすることを提案しています。ちなみに、保護者の弁当づくりの負担感のなかで最も大きかったのが「何を入れるか考える」で「つくる時間がない」ではありませんでした。時短レシピだけでなく、「お弁当に〇〇を入れて!」という声があると保護者も助かり、子どももうれしいのです。食事(弁当)づくりというと、調理に目がいきがちですが、「何をつくるか考える」も重要なプロセス。子どもと一緒にメニューを考えることにも目を向けてほしいと思います。
平本福子(フォーラム副理事長・学童保育の「食」を考える会)