toggle
2024-06-20

保存食づくり

4月から8月にかけては、保存食づくりが続きます。苺ジャムからはじまり、夏ミカンのマーマレード、山椒の実の佃煮、梅酒、梅干し、らっきょうの甘酢漬け、生姜の黒糖煮、生姜の甘酢漬け、ミョウガの甘酢漬け、そして茄子や胡瓜の塩漬けをもとにした即席の柴漬けで終わります。

こんなに作ってどうするの? と思いつつ、作らずにはいられません。食べたい気持ちがあるから作るのだと思いますが、作ってみたい気持ちの方が勝っているように思います。

今日漬けた、らっきょうの甘酢漬けもその例です。作ってみたい理由もレシピもさまざまです。2年前は川越産のらっきょうもおいしいとの情報があったからで、昨年はTVで有名な料理研究家3代目が簡単でおいしいおばあちゃんの味と紹介していたから、でした。今年は鳥取砂丘産の最高級品でと、瓶入り調味料一式を通販で購入しました。付属のレシピ通り水中で揉んで薄皮を剥くと、廃棄率20%で調味液の分量がピッタリ。しかし、つやがほしくて一皮剥くと廃棄率は30%になり、なるほどと納得して満足しました。

食べる楽しみはといえば、食べはじめ、漬けて1か月後、食べごろとされる秋口、1年経ったこの時期の3回ほど。「この味ね!」と味をみる程度です。いわゆる保存食・常備菜として活用するよりも、多くは食べて楽しんでいます(他の保存食もおおむね同様です)。

しかし、作ってみたいとは言え、らっきょうの甘酢漬けに、突飛な方法があるわけではありません。作らずにはいられない気持ちは、幼少期の生活体験にあるように思います。生家の漬物小屋には、1年分のみそ、しょうゆをはじめ、上記の保存食の他にも、たくあん、茄子、胡瓜、白菜などの短期の漬物などがありました。その保存食づくりに、準備から仕込みまで、何か月もかかる作業にも駆り出されてきたことにあるように思います。

そのためか、細かな単純作業などが苦ならない、というより好きです。それは料理以外でも自覚することがあり、笑ってしまいます。しかし、好きな単純作業がいつまで続けられるのか、集中力や持続力に不安も出てきました。今年は山椒の実(500g)の半分は、例年どおり細かな茎を取って佃煮にしましたが、(下処理はしましたが)半分は茎を付けたまま、友人たちに配ってしまいました。来年はどうするだろうか? と我がことながら興味深く思います。

余談ですが、私は白いらっきょうの甘酢漬を食べる中学生で、らっきょうの漬物は亀甲色の甘酸っぱいおやつと思っていました。生家のらっきょう漬けは、焼酎のかめ(4斗・40升ほどの大きさで、口はピンポン玉ほど小さく鉄紗色の陶器)に漬かっていて、年代順に5つ横倒しで土間に並んでいました。古い順に食べるのですが、小さな口から菜箸で取り出すのは至難の業でした。でも、その難しさから、摘み出すのがゲームのようで楽しくもありました。亀甲色で甘くやわらかかったのは焼酎? 長期間保存? 今や道具や保存環境は整わないので作りたくてもかないませんが、レシピを聞いておけばよかったと後悔しています。

 

針谷順子(フォーラム理事長)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)