埼玉県「伝統食サミット」開催
坂戸保健所と女子栄養大学を中心に作られたS食育ネットと坂戸保健所主催の、埼玉県「伝統食サミット」が1月に開催されました。
このサミットは、B級グルメや地域振興産物が花盛りの中で、土地・風土・農産物・伝統食の一貫した流れで育まれてきた知恵や、考え方を学びたいとのメンバーの気持ちから実現したものです。
S食育ネットの食育教材作成メンバーを中心に、県内を5ブロックに分け、各メンバーが担当ブロックを決め、その土地から伝統食のつながりを、書籍やインタビューで把握し、報告会を数回開く過程で修正を繰り返しながらまとめていきました。
その結果を受けて、世話人会で内容を企画しました。
まず、基調講演として江戸野菜の発掘の関わった出版編集者から、伝統野菜の発掘経過と今後について、お話していただきました。
次にサミットスピーカーとして、
南部地域は埼玉県地域指導農家のくわい生産者、東部地域はナマズ料理の料亭店主、西部地域はさつまいも伝統料理指導者のJA武蔵野食文化推進者、北部地域は産直センター元ねぎ部長の農家、秩父地域は県農林振興センター職員でしゃくし菜料理普及担当者にお話していただきました。
お話を聞く中で、それぞれの立場からの地域や農産物への思いや愛着、誇りがとても伝わってきました。
その後、各食材を使った伝統料理を試食しながら交流を深め、会は終了しました。
終了後のアンケート結果では、埼玉県の伝統食を知っていた約6割、伝統食についてもっと知りたい、今後の活動に活かしたいは各約9割あり、活用方法では約5割の方々が自由記載欄に記載。伝統食についての関心の高さが伺えました。
試食料理の調理は、スピーカー等に教えていただきながら学生が行いました。調理しながら学生が味をみていましたが、そこでの反応は私達とかなり異なることに驚きました。
例えば、くわい料理はとても苦い、ナマズ料理は生臭い、ねぎぬたは初めて食べたなどです。
くわいはほろ苦いところに特徴がありますが、その苦みをとても強く感じているようでした。
ナマズ料理も同様で、複雑で微妙な味について、若い人の味覚が心配になりました。
食材や伝統食を受け継ぎながら活動してきた方々のお話しを聞きながら、昔の食を大切にしながら次世代に伝える難しさを感じた1日でもありました。
田中 久子(フォーラム運営委員、女子栄養大学)