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2013-03-04

仮設住宅の食支援に関わる中で

まもなく、東日本大震災の3月11日がやってきます。
もう2年もたってしまいました。

私は宮城県南の亘理町と連携し、2ヵ月に1度のペースで、仮設住宅7ヵ所をまわり、
集会所で食事作り講座「おいしい輪」を開いたり、食生活調査を行っています。
仮設住宅では、これまでやっていた調理がやりづらい。
例えば、揚げ物をすると隣のお家に臭いが行ってしまうので、
スーパーのお惣菜になってしまうという風に、食事作りが変わります。
また、台所の狭さだけでなく将来への不安から、
「食事を作る気力がない」とおっしゃる方が多いのです。

2年たち、食生活は少しずつよくなっていますが、震災前には程遠い現実があります。
現在は、仮設に住んでいる方の多くが、転居先を見つけにくいお年寄りです。
家族から離れて、仮設に残されたお年寄りは、
「自分たちだけだから、パンだけでいいや」というようになってしまう方もおられます。

「おいしい輪」は、簡単クッキングを被災者でもある元亘理町管理栄養士の院生が担当し、
仮設に住まれている方もいる食生活改善推進員が地域の味(料理)を担当し、
参加者と一緒に作って、食べて、「おいしい輪」を広げていこうというものです。

亘理町名物のはらこ飯などは、どなたも作られるので、自分なりの作り方があって、
話が盛り上がります。
また、はらこ飯は一度にたくさん作って、大勢で食べる料理なので、みんなで作って、
震災前のわくわくした気持ちを少しでも取り戻してもらえたらと思っています。

被災した辛さを拭えずにいた方々も、「おいしい輪」を1年半ほど続けて行くなかで、
少しずつ雰囲気が明るくなってきました。
また、活動を通して、料理の作り方や健康な食事の仕方を伝えればいいというものではなく、
参加される方々との関係づくり(受け止め、発信していくか)が鍵だと気づかされました。

仮設住宅での食支援の報告(行政資料等)はいくつかありますが、
被災された方の本当の気持ちを受け止めながら、進めて行く支援の方法について、
詳細に記したものはあまりありません。
それを、今回どう残していけるのかが私たちの課題です。

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平本福子(フォーラム理事・宮城学院女子大学)